お話書こうとして飽きた

僕の名前はジョン、そこそこな評判の他県のとある大学に合格し、一人暮らしをしながらそこに通っている。

そして食堂のテーブルを挟んで向かいできつねうどんを食べている彼はダニエル。今日の学科ガイダンスの時に隣の席になって仲良くなり、その流れで昼食を一緒に摂ろうと誘われたのだ。

「そうだ、せっかくだからLINEを教えてくれないか?」

とダニエルが会話の途中で連絡先を訪ねてきた。僕は自分のIDを彼に見せようとポケットからスマートフォンを取り出したその時だった。ダニエルは突然折り畳み傘を開き、そのハンドルを口に咥えてベロベロと舐め回し始めたのだ。

「ダニエル、どうしたんだい突然?」

と僕は驚いて聞き返すが、ダニエルはさも当然といった様子で

「どうしたってLINEのIDを入力するから起動しただけだよ」と答えた。

僕には何を言っているのか分からず、ダニエルの答えを聞いても固まったままだった。

それを見たダニエルはあっ、しまった。という顔をして

「そうかジョン、君は知らないのか。この県ではスマートフォンはこれを使わなきゃいけないっていう決まりになってるんだ。」

と言って咥えていた折り畳み傘にしか見えない何かを指差したのだ。

「それが、スマートフォンなのかい?」

聞き返しながら辺りを見回すと、他の学生もみな折り畳み傘のような機器を口に咥え、ハンドルをベロベロと舐め回していた。よく見ると傘のカバー部分にはTwitterのタイムラインやYoutubeの動画が映っている。

「君もこれに替えた方がいい、そのスマートフォンを使い続けるのはいけないことだ。そういう決まりだからね」

困惑する僕にダニエルはそう続けるのであった。